観劇サポート

stampの観劇サポートへの
取り組み

トリコ・A/サファリ・Pを運営する合同会社stampは2016年より劇場アクセシビリティ向上の取り組みとして、舞台字幕サービス、託児サービスを行ってまいりました。主宰である山口茜が障害をもった方とのワークショップや作品創作の経験から始まったこのサポートを通してstampは「すべてのひとに開かれた公演」を目指しています。

今後は、舞台字幕サービスの品質向上や、視覚に障がいを持った方向けのタッチツアーなどを実施し、より多様な劇場文化の発展に向けて取り組みを進めてまいります。

車椅子の女性が施設内に入場する写真

2016年に第1子を出産し、ベビーカーで乳幼児と共に公共交通機関や施設を利用するようになり、私はそこで初めて、エレベーターがとんでもなく遠くにある駅、そもそもエレベーターがない駅があることに気づきました。エレベーターが無い駅を利用する場合、親は一旦子供を抱っこして、ベビーカーを畳み、それを持って階段やエスカレーターを上り下りする事になります。子供が小さいと荷物も多く、子供からも目が離せないため、外出がどんどん億劫になって行ったのを覚えています。子供を持つ方だけでなく、エレベーターでないと上に上がれない方はたくさんおられると思いますが、みなさんこんなに苦労されているのかと驚きました。

その折に偶然、TA‐netの廣川さんと出会いました。舞台作品に字幕をつけて聴覚障害を持つ方が観劇できるようにする仕組みをご紹介くださったのです。これまで聴覚障害を持つ方には観劇が難しいと言う事実に、一切気が付かなかった自分にまたもや驚きました。そしてエレベーターの構造と似ているなと思い興味を持ちました。当事者以外は全く気が付いていない「社会の側の障害」という言葉が真に迫った瞬間でした。

エレベーターを駅につけることはできないけれど、自分の作品に字幕はつけることができると思い、早速講習を受け、台本の貸し出しから始める事にしました。それがstampの、アクセシビリティの取り組みの始まりです。その後も、何度も何度も自分の無知に気がつく機会を得て、きっといまだに、まだまだ知らない「社会の側の障害」がたくさんあると考えるようになりました。同時に、そもそも採算の取れていない小さな劇団が、アクセシビリティに継続的に取り組むことの大変さにも直面しました。

最初は負担の少ないところからスタートする団体が増えると良いなと思います。増えると横のつながりが出てくるので、お互いに助け合いながら、環境を整えていくことを目指しています。

トリコ・A/サファリ・P 代表 山口茜

観劇サポート紹介

舞台字幕

トリコ・A/サファリ・Pどちらの公演でも観客の方が手元で見ることができる字幕サービスを行っております。

字幕サンプル(タップで拡大します)

  • ♪~笛を基調とした弾むような複数の高低音
  • ♪~◆素朴な女性の歌声(◆は同じ音楽につく記号)(もう 人類は おしまい かもしれない あなた の目は そう言って 私の胸を見た 空っぽの胸 響く 夜なく鳥の声→
  • 永山「はい…」智明「ほら、ここに書いてるからさ。松の葉を切る音がする…」永山「えっ」原谷が慌てて出てくる足音
舞台字幕イメージ

託児サービス

上演中にお子さまを預けていただけるように劇場内に託児室を設け、保育士資格を持った専門業者に委託をしております。託児室の用意できない劇場については、劇場近隣の託児施設のご案内を行っております。

舞台説明会

トリコ・A演劇公演2022『へそで、嗅ぐ』では、視覚に障がいをもった方に向けて、舞台美術や作品の時代や登場人物設定を説明する舞台説明を実施いたしました。

割引料金の設置

U30(30歳以下)、U18(18歳以下)、障がい者割引(同伴者1名無料)などの割引料金を設けることによって、劇場に足を運びやすくなるきっかけとしています。

利用した方の声

  • 音楽の表現を文字にするのは大変だろうなと思いましたが、とても面白かったです。
    ポータブル字幕をご用意してくださりありがとうございます!本当に楽しい時間のありがとうございました!対応はぜひぜひ続けてください!

    (『透き間』2023を観劇)

  • 芝居に合わせて画面が動くので、内容もよくわかってよかったです。このサービスがもっともっと普及してくれればいいといつも思います。テレビやDVDなどの字幕はかつてより普及してきましたが、お芝居のところでは中々ないのが現状です。少しでも増えてもらえればとても嬉しいです。

    (『透き間』2023を観劇)