サファリ・P第10回公演
『悪童日記』

何かを盗みたい時は、最初に必ず、信用してもらうんだ

サファリ・Pが上演を重ねてきた『悪童日記』を、2024年、新たなキャスト、台本、演出で5年ぶりに再演します。
本作は、母と離れ祖母のもとに疎開した幼い双子が、戦争によって炙り出された人々の浅ましい言動から己の心身を守るために、自らを鍛え上げる物語です。小説は双子の書いた日記という形で進行します。サファリ・Pは、この日記に書かれた”物語”を舞台化するのではなく、双子によって、感情を排除され事実のみを簡潔に記された日記の文体そのものを舞台化することで、日記には決して記されなかった双子の感情を舞台上に再現します。

原作:アゴタ・クリストフ『悪童日記』(ハヤカワ文庫)
翻訳:堀茂樹
脚本・演出:山口茜
出演:芦谷康介、佐々木ヤス子、達矢(以上 サファリ・P)、大熊隆太郎(劇団壱劇屋)、藤井颯太郎(幻灯劇場)
スウィング:谷美幸(劇団壱劇屋)

ご観劇の方へ
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今公演では作品中に以下の内容を表現するセリフと間接的な性表現が含まれています。
その際には俳優同士の身体接触はございません。

  • 性暴力
  • 未成年者への身体的暴力
  • 児童虐待
  • レイシズム(人種差別)描写
  • ゴア(グロテスク)描写

また、作品中の音響効果として「爆発音」を使用する演出や、
大声で怒鳴る演出がございます。

以上のことから、観劇についてご不安やご相談がありましたら、
お気軽に制作部までご連絡ください。

該当箇所の内容を事前にお伝えするご用意のほか、
もしものためにご退席しやすいお席を指定するなど、
お客様が安心してご観劇いただける環境をご提供できればと考えております。

ご不明点やお問い合わせは下記よりご連絡ください。

『悪童日記』制作部(担当:水戸)
https://stamp-llc.com/contact
TEL:03-4213-4290 (合同会社syuz’gen 平日10:00-18:00)

COMMENT

大きなノート
主人公である双子が、小説の中で一貫して取る行動は、自分にとって絶対に必要なものはあらゆる手段を使って必ず手に入れるということです。戦争によって人々の心は荒んでいるため、そこで自然発生する過酷な暴力に耐えるべくトレーニングを行い、自らの感覚を麻痺させながら、自分たちだけでなく、あらゆる人が生き延びるために必要なものを知恵を絞って入手し与えます。反対に、他者の人権を脅かす人に対しては惜しみない罰を与えます。

そしてその様子を毎日、大きなノートに記します。作文のルールは単純で、内容は真実でなくてはならない、つまり見る人によって変わるような形容詞や感情の表現ではなく、事実の描写でなくてはならないというものです。

だから私はこの双子を「戦時下を生き延びようとするいたいけな子供たち」ではなく、この世界の「神」すなわち「文体」として描くことを思いつきました。それで2016年の初演では、稽古着の5人の演者の身体と5つの無色の平台のみで世界を表現しようとしたのです。

そうしてこれまで4度の上演を重ねてきましたが、今回新たに、作品の中で、愛の定義を問い直したいと思っています。

あらゆる施しを拒否する双子も、最初の頃は「髪に受けた愛撫だけは捨てることができない」*と記します。これは同じく小説に登場する「兎っ子」と呼ばれる子供も口にすることです。「私はね、果物や魚やミルクなんて欲しくないわ。そんなもの私、盗めるんだもの。私はね、あんたたちが私を愛してくれたらってそう思うのよ。誰も私を愛してくれない。母さんさえも」*

私たちはつい、愛というものを、言葉や愛撫や束縛で表現しようとしますが、小説「悪童日記」のなかで双子は、自らの体験と作文を通して、これまで知らなかった新しい愛の形を知り、それを実行することになります。そこから読み取れるのは、その愛の形こそが戦争を無くす鍵なのだという、アゴタ・クリストフからのメッセージのようにも思えます。
言葉でもなく、愛撫でもなく、束縛でもない愛とはなんなのか。
ぜひ見届けにいらしてください。

*アゴタ・クリストフ著, 堀茂樹訳『悪童日記』ハヤカワ文庫, 2001 より

山口 茜

撮影:松本成弘

SCHEDULE

2024年4月12日(金)~16日(火)

12日(金)19:00
13日(土)12:00/17:00
14日(日)13:00
15日(月)13:00/19:00
16日(火)13:00

  • *15日(月)19時公演、16日(火)13時公演は出演者の体調不良のため中止とさせていただきます
  • *受付開始は開演の45分前、開場は30分前

上演時間 約70分

TICKET

全席自由席・前売当日同料金
一般:4,000円
U18:1,000円
障がいのある方とその介助者:2,500円(同伴の介助者一名無料)

  • *未就学児入場不可
  • *U18は公演当日要年齢証明書
  • *障がいのある方とその介助者チケットは、障害者手帳等をお持ちの方がご購入いただけます。身体障害者手帳、療育手帳、精神保健福祉手帳のいずれかを当日受付でご提示ください。また、ご同伴の介助者一名まで無料になります。
  • *車いすで観劇をご希望の方はチケット予約時にお知らせいただくか、『悪童日記』制作部までお問合せください。
  • *入場券の整理番号は当日受付順となります。

チケット予約

1月27日(土)10:00~チケット予約開始

Peatix    https://peatix.com/group/4185018

[peatix]予約のみ・当日清算

THEATRE E9 KYOTO    https://askyoto.or.jp/e9/ticket/240412

[THEATRE E9 KYOTO]事前精算/劇場支援会員

THEATRE

THEATRE E9 KYOTO
〒601-8013 京都市南区東九条南河原町9-1

Theatre E9 KYOTO WEBSITE

CONTACT

『悪童日記』制作部
TEL:03-4213-4290 (合同会社syuz’gen 平日10:00-18:00)

contact form

SUPPORT

  • ・台本の事前貸出サービス [無料]
    聴覚障害のある方、聞こえにくい方を対象に、上演台本(PDF)の事前貸出を行います。上演台本データは、公演終了の4月16日まで閲覧いただけます。ご希望の方は、チケット購入時にお知らせいただくか、ご観劇日とお名前を記載の上『悪童日記』制作部までお問合せください。
  • ・会場周辺の一時保育・一時預かり情報
    劇場には託児所がありませんので、近隣の託児所をまとめましたご活用ください。

    会場周辺の一時保育・一時預かり情報

  • ・車椅子をご利用の方、盲導犬をお連れの方など、ご来場、ご観劇に関して心配事やサポートの必要がある方は、『悪童日記』制作部までご相談ください。
  • ※その他の鑑賞サポートは随時公開予定です。

CREDIT

作曲:増田真結
舞台美術:夏目雅也
照明:池辺茜
音響:森永恭代
舞台監督:下野優希
演出助手:入江拓郎(THE ROB CARLTON)
宣伝デザイン:山口良太 (slowcamp)
宣伝写真:中谷利明
制作:水戸亜祐美、寺田凜、染谷日向子(合同会社syuz’gen)、合同会社stamp
企画/製作:合同会社stamp

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