トリコ・A演劇公演2023
『そして羽音、ひとつ』

私たち、ただこうやって、
ハトを待つの

作:山岡徳貴子(魚灯)
演出:山口茜
出演:佐々木ヤス子、武田暁(魚灯)、半田慈登(劇団壱劇屋)、藤原大介(劇団飛び道具)、山本麻貴

マジョリティはどうすれば自分のマジョリティ特権に気が付けるか

2022年12月、トリコ・Aのリーディング公演『ふち』にてワーク・イン・プログレスとして上演された本作は、登場人物の追加など脚本が全面的にブラッシュアップされ、ついにフルスケールでの上演となります。リーディング公演時から、山口は「マジョリティはどうすれば自分のマジョリティ特権に気が付けるか」というテーマを一貫して提示しています。〝マジョリティ特権〟の問題は、それ自体の不平等に限らず、マジョリティである特権を持っている人々が、そのことに無自覚であるという点にあります。この問題を上から啓蒙するのではなく、演劇という形式を通して自発的な気付きの可能性を探ることは、この問題の根源に取り組むことであるといえるでしょう。今回は企画・作品の両面において、そうした問題への一つのアプローチとして上演がなされます。

\クラウドファウンディング実施中!/

客体的に生きる時間が長く続くと、自分が本当は何を欲しているのか、どんどんわからなくなっていきます。客体的に生きるとは、役割を生きる、とも言い換えられるかも知れません。他者にとって自分はどうあるべきか、が生き延びる手段なので、嫌だなと思うこと、困っていること、辛いことは全て、自分自身も気が付かない意識の奥深くに封じ込めてしまいます。これは社会的に自分の主体性が守られてきた、いわゆる「マジョリティ」にはわかりえないことだと思います。え?自分にだってわかるよ!って思った方は、ぜひ観にいらしてください。一緒にお芝居を見て、このことについてぜひ、じっくりと考えを巡らせましょう。

山口茜

あらすじ

とある老女。彼女は周りの人間から、それぞれが見たい姿を勝手に投影され、彼女自身が顧みられることはない。一方当人は、何もわからない風でいながらしたたかに生に執着している。社会から見えない存在にされても、息をしなくてはならない、なぜなら私は、生きているのだから・・・。人生の最終章。認知症を患いながらも周りの人間との関わりの中で、自分らしく生きることを選択する、老女の物語。

劇中表現についてのお知らせ

本作では、劇中に精神的な攻撃、身体的な攻撃を描写するシーンがございます。PTSDなど精神科で治療を受けられている方、フラッシュバック等を起こされる恐れのある方は、ご自身の安全を最優先にご観劇下さい。ご観劇にあたり、事前に不安を感じる方がいらっしゃいましたら、些細なことでも構いませんので、トリコ・A制作部までご連絡ください。また、事前に台本を読んでいただくこともできますので、お問い合わせください。

物語をもっと知りたい方へ ※軽いネタバレを含みます※
▼ 表示する

~一人の老女をめぐる物語~

孤独に老老介護をしている老女のもとに現れた、息子夫婦だという一組の男女。しかし、ベッドの上で〝そこにいるはず〟の父はそこにいない。聞きただしても、認知の症状が進んでいる老女には何の居場所も事情も聞き出すことができないでいた。

他人が介入することを嫌っていた夫の意向もあって、介護サービスを受けていなかったはずのその家には、最近になって一人の男性が出入りしていた。低賃金で働く介護職の人が副職、いわゆるWワークの為に、介護制度内ではできないサービスをする「何でも屋」のその男に老女は恋をしていた。恋のために生きていく気力を取り戻していくようだった。気力と若さを取り戻していくのに反して、自分の記憶や何もかも忘れていくのではないかという恐怖と焦燥にかられる日々。息子夫婦が現れたその日、何でも屋の男は、自分の代わりに老女を担当してもらう為、一人の新人を連れて仕事の引き継ぎをしていたところだった。毎回老女の金庫から言い値を勝手に取っていく姿に、新人は疑問を覚える。これほど割のいい仕事を他人に渡すのには、何か事情があるからではないのかと。自分の元から離れていこうとする何でも屋の男を引き留めるが、目を合わすことすらしなくなる男。

生活が立ちゆかなくなった一組の男女。老女の認知の症状が進んでいることを知った男女は、老女の息子夫婦だと言い張り、その家に居座ろうとしていた。家を物色するうちに何冊もの日記を見つける。老女の夫が何年も寝たきりの間、書き記していた手記だった。夫の立場で書かれていたその生活は、社会から孤立した圧倒的な世界だった。献身的に尽くしてきた老女と夫の関係に、偽の息子は理想の関係を見いだす。やがて老女のことを躊躇なく「母さん」と呼び、慕い始める。そんな男の姿に拒絶反応を示しながら従い続ける女の姿に、老女は、以前の自分の姿を見ているようで放っておけなくなる。

一方では「献身的に尽くしてきた妻」。また一方では「夫を恨み尽くしていた妻」。他人が勝手に仮構していく老女への憶測と、老女自身が感情的に湧き上がる、記憶の一片が入り交じる。何が老女の真実かわからないまま、或いは、全てが老女の人生の一部となっていく。

愛していたからなのか、憎んでいたからそうしたのか、それはもう本人さえもわからない。ただせめて、自分の生きた証の一つをそっと、誰にも触れさせない形に押し留めることが必要だった。

ある時、庭のある一角に鳩の大群。その隙間から、まだ白骨化されていない、高齢の男性の手があらわれる。「何もわからない」という老女。疑いの目は、何でも屋の男に向けられる。

一人で暮らしていくことが難しいと判断された老女は、やがて施設に入ることを勧められる。最後まで自分らしく生き抜くことを渇望した老女の選択は…。

観劇に当たっての注意事項

愛知公演

11月10日(金)~12日(日)
10日(金)18:30◆
11日(土)14:00◆
12日(日)14:00〇
◆アフタートーク
〇鑑賞サポートあり

*受付開始は開演の60分前、開場は30分前

[アフタートークゲスト]
10日:おぐりまさこ(空宙空地)、関戸哲也(空宙空地)
11日:北村想(劇作家・演出家)
※ゲストは予告なく変更となる場合がございます。

【アフタートークゲスト変更のお知らせ】

11月11日(土)14時の回のアフタートークに登壇予定でした北村想さんが、体調不良により登壇を見合わせることになり、ゲストを以下の通り変更いたします。

11月11日(土)14時の回
変更前:北村想さん⇒変更後:佃典彦さん

アフタートークゲスト変更に伴うチケットの払い戻しはいたしません。
ご理解賜りますようお願い申し上げます。

会場:メニコン シアターAoi

アクセス
  • 愛知県名古屋市中区葵三丁目21番19号 Menicon Theater Aoi Bldg. 内
  • JR中央本線「千種」駅地下改札口方面、5番出口より徒歩4分
  • 名古屋市営地下鉄 東山線「千種」駅5番出口より徒歩4分
  • 名古屋市営地下鉄 桜通線「車道」駅4番出口出てすぐ左折。徒歩7分

愛知公演チケット

全席指定席・前売当日同料金
一般:4,000円
U18:3,000円
障がい者割引:3,200円

  • *未就学児入場不可
  • *18歳以下は公演当日要年齢証明書
  • *障がい者割引は、障害者手帳等をお持ちの方がご購入いただけます。身体障害者手帳、療育手帳、精神保健福祉手帳のいずれかを当日受付でご提示ください。
  • *車椅子でのご来場、補助犬のご同伴をご希望の方は、お電話にてお申込みください。
ご予約方法
公益財団法人メニコン芸術文化記念財団
TEL:052-938-7185(平日午前10時~午後5時)*休館日は除く
チケット予約
チケットぴあ(愛知公演)
TEL:0570-02-9999[Pコード:521-689](24時間・自動音声対応)
店頭:チケットぴあカウンター、セブン−イレブン
WEB

愛知公演お問い合わせ

主催:
公益財団法人メニコン芸術文化記念財団
TEL:
052-938-7185(受付時間:平日午前10時~午後5時)*休館日は除く
MAIL:
info-aoi@meniconart.or.jp
WEB:
https://meniconart.or.jp/aoi

大阪公演

11月18日(土)~19日(日)
18日(土)12:00/18:00◆〇
19日(日)14:00◆〇
◆アフタートーク
〇鑑賞サポートあり

*受付開始は開演の60分前、開場は30分前

[アフタートークゲスト]
18日:大熊隆太郎(劇団壱劇屋)
19日:山岡徳貴子(魚灯、脚本)
※ゲストは予告なく変更となる場合がございます。

会場:扇町ミュージアムキューブ CUBE01

アクセス
  • 大阪府大阪市北区南扇町6-26
  • 大阪メトロ堺筋線「扇町」駅(5番出口)から徒歩3分
  • JR環状線「天満」駅から徒歩7分
  • JR「大阪」駅から徒歩15分

大阪公演チケット

全席自由席・前売当日同料金
一般:3,500円
U30:2,500円
U18:1,000円
障がい者割引:2,500円(同伴の介助者一名無料)

  • *未就学児入場不可
  • *U30およびU18は公演当日要年齢証明書
  • *障がい者割引は、障害者手帳等をお持ちの方がご購入いただけます。身体障害者手帳、療育手帳、精神保健福祉手帳のいずれかを当日受付でご提示ください。また、ご同伴の介助者一名まで無料になります。
  • *車いすで観劇をご希望の方はチケット購入時にアンケートでお知らせいただくか、『そして羽音、ひとつ』制作部までお問合せください。
  • *入場券の整理番号は当日受付順となります。

トリコ・A20周年企画

大阪公演限定
「トリコ・A初めて割」あります!

トリコ・Aの作品を初めて観劇する方が当日チケット受付にて「トリコ・Aの観劇が初めて」なことを伝えると現金500円キャッシュバックを行います!気になってたけどまだ観たことない…という方はこの機会にぜひ劇場にお越しください。

ご予約方法
Peatix
  • ご購入済みのチケットのキャンセル・払い戻しは原則として承っておりません。
  • 日時変更をご希望の場合は、チケットを購入された回の開演2時間前までに、『そして羽音、ひとつ』制作部またはPeatixメッセージにてご連絡ください。変更ご希望の日程に空席がある場合のみ対応いたします。
大阪公演・提携:
扇町ミュージアムキューブ
大阪公演助成:
アーツサポート関西
大阪公演協力:
株式会社シアターワークショップ
大阪公演主催:
合同会社stamp

大阪公演お問合せ

『そして羽音、ひとつ』制作部

TEL:
03-4213-4290 (合同会社syuz’gen 平日10:00-18:00)
MAIL:
seisaku@stamp-llc.com
WEB:
https://stamp-llc.com/

鑑賞サポート

  • 台本の事前貸出サービス [無料]
    聴覚障害のある方、聞こえにくい方を対象に、上演台本(PDF)の事前貸出を行います。上演台本データは、大阪公演終了の11月19日まで閲覧いただけます。ご希望の方は、チケット購入時のアンケートでお知らせいただくか、ご観劇日とお名前を記載の上『そして羽音、ひとつ』制作部までお問合せください。
  • 字幕タブレット、音声ガイドサービス[ 要予約|無料・定員制 ]
    上演中、セリフや音響の情報をお客様のお手元でご覧いただける字幕タブレットの貸出しと、舞台上の俳優の動きなどを音声で説明を行う音声ガイドを行っております。お席は好きな場所を選んでいただけます。
    [対象公演]
    愛知公演 11月12日(日)14:00
    大阪公演 11月18日(土)18:00 / 11月19日(日)14:00
  • 車椅子をご利用の方、盲導犬をお連れの方など、ご来場、ご観劇に関して心配事やサポートの必要がある方は、『そして羽音、ひとつ』制作部までご相談ください。

クレジット

作曲:増田真結
舞台美術:松村あや
照明:池辺茜
音響:森永恭代
衣裳:清川敦子
舞台監督:武吉浩二(campana)
演出助手:今井千香
宣伝デザイン:山口良太 (slowcamp)
宣伝写真:坂下丈太郎
制作:水戸亜祐美、寺田凜、染谷日向子、宮本晶子(合同会社syuz’gen)、合同会社stamp
企画/製作:合同会社stamp

鑑賞サポート
2025 大阪・関西万博に向けた文化芸術ユニバーサル・ツーリズムプロジェクト
主催:一般社団法人全国手をつなぐ育成会連合会、独立行政法人日本芸術文化振興会、文化庁
協力:障害者の文化芸術活動を推進する全国ネットワーク
連携・協働:障がい者の文化芸術活動推進知事連盟

  • 京都芸術センター制作支援事業

Social Networks

Share