『悪童日記』の躍動日記①

 今週末に控えた『悪童日記』。本日2月5日も朝から夕方まで稽古であった。制作助手の私(中筋捺喜)も稽古に参加している。
 再演とはいえ、キャストが違えば舞台も違う。前回は小劇場であったが、今回はプロセニアム舞台と場所も違う。本日もその違いに取り組み、ラストシーンを作り替えてゆく。

 演出家の山口さんがお昼から来られるということで、その課題を俳優の皆さんだけでまずは形にする。「こんなことをしたら面白いんじゃないか?」、その「こんなこと」を聞いた時、私は一瞬耳を疑ったが、それを実現させてしまうのがこの人たちなんだな…と改めて思った。余談ではあるが、キャストのほぼ全員がプロテイン飲料を愛飲している。前までは甘いおやつが置いてあったスペースにはたんぱく質メインの食料が置かれている。一週間ほど私は稽古場に行っていなかったのだが、その一週間のうちにまた皆さんの筋肉意識が上がっていたようだ。
 「こんなこと面白いんじゃないか?」というアイデアから、どんどん新しいアイデアが生まれて、じゃあ自分はこうしよう、それならこうする…と発展してゆくのを見るのはとても面白い。山口さんが来られるまでに一旦たたき台を作り、それを山口さんと共にソフィスティケートしてゆく。そのたたき台だけでも圧巻のものであったが、あと数日間の稽古でどんどん強固なものになってゆくだろう。

 客観性の獲得というのは難しい。自分が動いていることを真に外から覗くことは不可能だ。対して今回の『悪童日記』の原作は、双子が見たまま、聞いたまましか描かれない。彼らの心理すらもその文中には描かれない。そんな作品を舞台に上げる。観客は圧倒的な「客観」なのだが、不思議と舞台上の余白、それは人物の感情だったり性格だったりするのだが、そういうものを想像する。今回の『悪童日記』は事実しか述べられない。それ故、余白だらけである。その余白を埋めたり、あるいは埋めなかったりすることが、おそらく舞台を観ることの楽しみであるのかもしれないと、今回の通し稽古を見ていて感じた。是非、余白を楽しみに来てほしい。

制作助手 中筋捺喜